移動式クレーンの資格について

以前、クレーン等で荷物を移動する際に必要となる、『玉掛け技能講習』についてご紹介しましたが、玉掛けの資格だけでは荷物を移動することは出来ません。
移動をするためにはクレーンの操作が必要であり、このクレーンの操作にも資格が必要となります。
クレーンは大きく分けると、クレーン・デリックと移動式クレーンの2種類に分けられるのですが、今回は移動式クレーンについてご紹介していきます。

1.移動式クレーンについて

先ほど、クレーンは大きく分けて2種類に分かれると書きましたが、そもそもクレーン・デリックと移動式クレーンはどう違うのか?
実物の写真を見てみましょう。

こちらがクレーン・デリックに分類される天井クレーン

こちらが移動式クレーンに分類されるラフテレーン(ラフター)クレーン

 

基本的に、クレーン・デリックは特定の場所に固定して使用し、移動式クレーンはタイヤ等の走行装置を利用し不特定の場所に移動し使用するものになります。

クレーン・デリックは特定の場所に固定して使用するため作業の安定性が高く、その場所(工場内や建設現場等)で長期間作業をする場合に適しています。
その反面、設置した場所から届く範囲でしか作業ができず、設置や撤去に時間もかかることから短期間での作業にはあまり向いていません。

それに対し移動式クレーンは設置等が容易なため短期間での作業に適しており、また作業場所を移動できることから複数の場所で作業が可能で、狭い場所に入り込んでの作業も可能となります。
ただし、移動式クレーンは固定式のクレーンからすると安定性が悪く転倒事故等が発生する可能性が高くなります。

まとめると、移動式クレーンは転倒等に注意が必要になりますが、現場での対応力が高く柔軟な作業が出来ることが最大の利点です。

この二つは同じクレーンですが、資格についてはクレーン・デリックと移動式クレーンで別物になるので注意が必要です。
さらに移動式クレーンの中でも資格が分かれています。

次は移動式クレーンの資格についてみてみましょう。

2.移動式クレーンの資格の分類

 

クレーンはワイヤーロープ等で荷物を吊り上げて作業を行うため、操作を誤ると荷物が振り子状態になり荷物が人や物に激突したり、荷物が落下したりと重大な労働災害に繋がる可能性があります。

そのため、操作をする者は有資格者であることが法律で義務付けられています。

 

クレーンの資格については下記の通りとなります。

つり上げ荷重は、フックやワイヤ等の質量と吊り上げる荷物の質量を合計したもので最大吊り上げることのできる荷重をいいます。

つり上げ荷重  =  フック等の質量  +  荷物の質量

つり上げ荷重が大きくなればなるほど、移動式クレーンも大型化していくので上位の資格が必要となります。
上位の資格を持っていればそれよりも小さな移動式クレーンも操作することが出来ます。
自動車の運転免許証と同じですね。

3.移動式クレーンの資格の注意点

注意が必要なポイントが2つあります。

1.資格の区分はクレーンの性能で分けられている!!

よくある勘違いで、吊り上げる荷物の質量が基準と思われている方がいらっしゃいます。
例えば、吊り上げる荷物の重さが0.5tだから特別教育でいい。という間違え方ですね。
この考え方だと、『使用するクレーンが10t以上吊り上げられる大型のクレーンであっても荷物が0.5tしかないから特別教育でいい』となります。

自動車に例えると、30人以上乗れる大型バスに普通免許で乗れる最大人数の10人しか乗せないから普通免許で運転して大丈夫と言っているようなものです。
さすがにそれはおかしいですよね(^_^;)

例で挙げた分は判り易くするために大型のクレーンで書きましたが、どちらかというと勘違いされている方が多いのは技能講習で操作ができる小型移動式クレーンの範囲です。

自動車でも、10tトラックや大型バスが普通免許で乗れないのはほとんどの人は理解していると思いますが、2tトラックや1.5tトラックが普通免許なら乗れるか?といわれると正しく答えられるか自信がない方も多いんじゃないでしょうか?

2.移動式クレーンの資格は作業をする為の資格!!

あくまでも移動式クレーンの免許や技能講習などは労働安全衛生法で定められた、作業をする際に必要な資格です。
移動式クレーンは公道を走行できる様な作りとなっているものが多いですが、公道を走行するためには道路交通法に定められたその車両に対応した自動車運転免許証が必要となります。

4.使用される業種

大型の移動式クレーンは主に建設現場や港での荷の積み下ろしに利用されており、クレーンの専門会社や運送業などで利用される場合が多いです。
重量物は基本的に高額なものも多く、事故が起きた際の損害も大きくなる可能性があります。
その反面、地域等により差はありますが求人情報等を見ると総支給額が30万円前後で設定をされている会社が多く見られます。

5t未満の小型移動式クレーンについては、運送業や電気工事業、造園業など様々な分野で利用されています。

小型移動式クレーン技能講習で操作できるクレーンは主にこのようなトラッククレーンが多く人力での運搬が難しいものを運搬する際などによく使われています。
こちらについては持っていれば給料が上がるなどはあまりありません。
しかし、使用する業種も多いことから転職を考えている際には有利に働く可能性があります。

5.まとめ

移動式クレーンの操作は少し難しいですが、不特定の場所でクレーン作業が可能なことから幅広い業種で利用されています。

移動式クレーンと小型移動式クレーンのどちらも長崎クレーン学校で講習を行っています。

転職を考えている方や、ご自身のスキルアップを考えている方はご受講をしてみてはいかがでしょうか?

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